和太鼓演奏ロボ Catbot 機構解説 第8回ソレコンいいね!賞 受賞作品

応募締切まで1週間しかない時間をフル活用する為には
手元にあるものでなんとかする必要がある。

サイズなどを考慮して決めたのは5Vソレノイド

USB基板付き5Vソレノイドなら
necobit 製品 MIDI/USBスイッチトランスレーター MU-4 に繋ぐだけですぐMIDI制御できる!

これなら間に合う!開発して良かったMU-4!!!
というわけでサクッと決定。

コチラがMIDI/USBスイッチトランスレーター MU-4 商品画像です。

(ちなみにそれ以外のソレノイドの場合は、これまた necobit 製品 MT-4/MIDI to Transistor switch 4port で制御できます。)

ちょっと余談 ソレノイド選び方(necobit の場合)

時間の都合もあり、今回は制御の面から入ってソレノイドを決定したわけですが、それだけでは話がちょっと面白くないので…
ここで necobit のソレノイド選定方法も簡単に紹介します!

  1. プッシュか、プルか
    (構造の違い)
  2. サイズ
    (配置スペースに制限がある場合は優先順位高い)
  3. ストローク
    (プランジャーが動ける長さ、短すぎると狙った動きができない)
  4. トルクカーブ
    (力の強さ)
  5. 利用するデューティー比
    (電流を流していない時間と流している時間の比率。連続通電できるもの以外はオンにしっぱなしだと焼き切れて壊れる)

4と、電圧・抵抗値が連動しているのですが、そこは難しくなるのでここでは省略します。
5も4と連動しているのですが、そこも難しくなるのでここでは省略します。

このあたりの難しい所が、「ソレノイドむずかしい」と挫折してしまう人もいるところだと思います。いずれそういった人にも分かりやすくなるコンテンツが作れたらいいのですが……

ソレノイドの力を効率よく使うには

さてさて、話を戻して
この USB基板付き5Vソレノイド
サイズの割にはパワーがあるが、それでもやや非力なので
なるべく効率よく力を使わないと
ガチャ太鼓の皮部分をきちんと鳴らせなそう…。

今回の和太鼓ロボの場合
その効率に1番関係が深いのは、

まずはここをどうするか、しっかり考察します。

ボディ内部にソレノイドを仕込んで直接引っ張る方式(自動演奏グロッケンとセットの初代Catbot太鼓と同じ)

これと同じ、ボディ内部にソレノイド仕込みが1番効率良さそう…
だが、
Catbot本体が大きくなりすぎるので却下。
ソレノイド自体で直接太鼓を叩く方法も同様の理由で却下。

となると……下から引っ張るしかあるまい。人形劇方式だ。

 

思いついた瞬間に描いたスケッチ

腕を引っ張るための素材

腕を引っ張る素材は伸びや強度をいろいろ試して細めのテグス。

他に試したタコ糸は伸び過ぎ、もう少し太いテグスでは硬過ぎた。

また、ここをゴム系やスプリング素材にすると
引っ張られた瞬間に伸びて勢いを殺してしまい
叩く力は弱くなり、タイミングも少しずれてしまう。

腕を引く場所、つまりテグスと腕を結ぶ点は
肘よりもやや肩によった辺り。

使用した 5Vソレノイドのストロークは5mm。
(ストロークとは簡単に言うとソレノイドの鉄芯が動く幅/長さ。もっと詳しくは→タカハ機工WEBサイト

腕は大きめに動いた方がそれらしい動きになるので、
テコの原理で動きを大きくしてやる。

ただし、動きを大きくすればするほど叩く力は弱くなるので、
何度か調整してちょうどいい場所を決めていく。

ちょっと余談 関節にチャレンジ

実はこの段階で、腕パーツに肘関節もつけようとしていた

の、だが。

肝心の太鼓を叩くための力が逃げてしまう、逆関節にならないようにする機構とか作らないとヤバい感じになるなどの理由で却下した。

また今度チャレンジする。かもしれない。
本気なロボット製作のみなさんすごいね…。

太鼓の打面と腕の距離

さあさあ、ソレノイドで腕を動かして太鼓を叩く、という
機構の基本的なところはできました。

が、

太鼓の打面とバチの距離
(バチは腕と一体化しています)

ここの調整がまだシビアすぎる…。
太鼓がいい音で鳴るちょうどいい距離がなかなか掴めない…。

こーれーはー時間かかるかなーーーと悩み始めたところ、

解決策はありました!

脚をPETGでしならせ、腕を輪ゴムで戻す

ご覧の通り、Catbot は3Dプリンタで作られた樹脂製です。
この樹脂にも様々な種類があります。

黄色い部分(バチと目も同じ樹脂。塗装しています)の樹脂は PLA。安価で扱いやすいので、3Dプリンタで使われる一般的な樹脂素材です。

さて、太鼓とバチの距離問題を見事解決に導いたのは PETG 。Catbot の黒い脚の部分です。

このPETG、良くしなる素材です。
(necobit のMIDI自動演奏グロッケンのバチにも使用)

保持する根元をPETGにすることで、
腕が下に引っ張られた瞬間に身体全体が前に動く。

そして、叩くとその反動に加え
頭から腕に繋がっている輪ゴム

この輪ゴムの張力が、腕を後ろに引っ張って
打面からバチが離れる。

!腕の位置が戻る動きではなく、
バチが太鼓に当たった次の瞬間に、打面にくっ付きっぱなしになっていないことにご注目ください!

この動作、人間がやるとあまりに自然にやっているので
作るのも簡単にできると思われるかもしれません。

ところがどっこい
メカにやらせようとすると工夫が必要なところだと思います。
(そういう作り方をちゃんとやったことないので想像ですが)例えば…叩く瞬間に脱力させて反動で戻ったところで固定するとか…かな?脱力させないと戻らない、戻ってもそこで止められないとバインバイン何回も叩いちゃう…。

とにかくそんな工夫をあれやこれやすることなく、
PETGによる脚のしなりで反動をつけ
太鼓を最も良い響きで叩かせることに成功しました!

TPUで躍動感を出す

PETG樹脂のおかげで、脚がしなり
叩くアクションのたびに上体が前後に揺れるようになりました。

これだけでもいい感じの動きではありますが
さらに、
TPU という樹脂素材を使いました。これはゴムのように柔軟性があります。
Catbot の首部分に使用したことでとても可愛らしい躍動感が出ました。

Catbot の胴体と首を固定するジョイントパーツを
三角錐を頂点同士で繋ぎ合わせた、鼓のような形に
くびれ部分を細くして、TPUで3Dプリントしました。

この柔軟性のある樹脂を首部分だけに使用することにより
左右の腕がそれぞれ引っ張られた時に
ねじれが発生するようになります。

腕のアクションと同時に、ほんの少しだけ顔が左右に振れる。

ソレコン審査会(動画で観れます)でもしっかり注目いただきましたソレノイドでただ引っ張るだけはない躍動感のあるアクション
このようにして誕生したのです…。

あとはMIDIでリズムを打ち込むだけ

赤いラインが右側の Catbot のリズム
黄色いラインが左側の Catbot のリズム

この真ん中の画面キャプチャは
DAW(MIDIシーケンサーソフト)で
実際の和太鼓演奏用MIDIデータを再生しているところです。

このMIDIデータは、いわゆるDTMで作れますので
パソコンやスマホなどのMIDI系音楽アプリを使えば
どなたでも、Catbot に好きなリズムを叩かせることができます♪

ところで、ここまで電子工作をしていないことにお気づきでしょうか

ソレノイドという電気で動作する部品を使っているにもかかわらず、
はんだごてもブレッドボードも出てきませんでした。

テグスや輪ゴムでアクションを作るのは、
どちらかといえばどころか完全にカラクリ工作です。

 

電子工作できなくてもソレコン応募できるじゃん!!!

 

と思った方!!ようこそこんにちは!!!

今回使った5Vソレノイドは、モバイルバッテリーに繋ぐだけで動くソレノイドなので
思う存分、ソレノイドの動力を利用したカラクリ作りの方に頭と時間を使うことができますよ。来年のソレコンでお会いしましょう。

冒頭でも紹介しましたが
USB基板付き5Vソレノイドなら、そのままUSBケーブルをMU-4に繋げます。

リズムのMIDIデータを用意して…
そのほかの準備も説明したまとめもありますので
ぜひご覧ください → 詳しいスタートガイド MIDI/USBスイッチトランスレーター MU-4

 

結果、いいね!賞を受賞しました

というわけで、MIDI和太鼓演奏ロボット Catbot
応募締切前日(の夜中つまりほぼ当日)に完成しました。

ソレコンの応募は、2分以内の動画提出です。どんなによく出来てても動画で伝わらなければ審査員も評価できません。

内容で一番重視するのは、もちろん作りの説明です。

しかし動画というコンテンツ上
見た目でのわかりやすさ、作品のもつ雰囲気も大事なところです。

だいたい全体像が見えてきたあたりから、機構とは直接関係ない装飾の部分も作りました。和太鼓なのでお祭り・盆踊りの感じ。

電球風LEDライトは100円ショップ商品をそのまま使用。
背景でカラフルに点滅しているのは、撮影用背景パネルの裏からLEDライトを透かして幻想的な灯りを演出しています。

この雰囲気作りの点も、審査で好評をいただき嬉しい限りです。

めでたしめでたし…

アイデア思考編もぜひどうぞ!

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MIDI寄りものづくり ねこびっと通信

コチラでは
このMIDI和太鼓演奏Catbot ができるまで
どんなふうにアイデアを捻り出していったか
思考の方に視点を置いて綴っています。

ぜひ合わせてお読みください!


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