ソフトシンセ全盛の時代こそ大切なDA変換

それは昔々、necobitがまだ自宅ひきこもり仕事ではなかった頃。
スタジオで使うミキサーを選んだことがあった。

要望としては、

1、誰でも簡単にすぐ使える状態に出来て

2、色々な状況にすぐに対応出来て

3、きちんとした音質で鳴る

みたいな感じ。

1に対応出来ると考えると、
デジミキ(デジタルミキサー)導入が一番。
音源の数が少ない場合は多入力のある
オーディオインターフェースで代用出来るけど、
入力が多くなってくるとやはりデジミキの方が使い勝手がいい。
2に関してもデジミキがあればトータルリコールができるので
簡単にクリアできる。

問題は3。
アナログミキサーに置ける音の劣化というのは、
回路にノイズが混じっていたり、アンプによる
音の増幅のされかたが悪かったり、ケーブルの質が
悪い事による劣化だったりする(と思う)けど、
デジタルミキサーの場合は、それに加えて
A/D、D/A変換(アナログ/デジタル、デジタル/アナログ変換)
という部分が大きな音質の違いになる。

A/Dはマイク等の音そのものの振動をデジタルで記録する為に
0/1で表すデジタル信号に変換する部分。
D/Aは逆で、デジタル受けた信号をスピーカーや他の
機器に送る為に電圧によるアナログ信号に変換する部分。

その辺りのものを仕事で選ぶとなると失敗するわけにはいかない。
ということで、当時デジミキで一番一般的だったヤマハに直接連絡して、
デジミキを比べられる環境がないものか相談してみたら、
わざわざ環境を準備してくれるというので、ヤマハに出向いて試聴する事になった。

行ってみると、(当時)ターゲットとしていた、DM1000、O2R96V2、そして
予定にはなかったけどDM2000も準備していてくれた。
それぞれ、同じパワードスピーカーをスイッチで切り替えられる様にしてくれていたので
純粋にミキサー本体の音質差を比べる事が出来た。

値段はDM1000が50万位、O2Rが100万位、DM2000が200万位。

で、音質的に差がそれほどなければDM1000をセレクトするつもりだったんだけど、

DM1000<<<<<<<<<<<<O2R<DM2000

50万クラスのものでもこれだけ差をつけられるのかよ!という程の音質差。
DAのチップ(アンプだったかもしれない)は同じものだという説明だったけど、
なんにせよどこかで圧倒的に音の再現度に差がついているのがすぐに分かる。
仕事ベースで考えるとO2R以上が必須だ。と強く思ったnecobitは
オーバーしてしまう予算を通すべくその違いを力説する事になったのでした…。

ちなみに、音質ということで考えたら、ミキサーは無くして
質のよいオーディオインターフェースに質のよい
アンプを通してスピーカーにつなぐのが一番だけど、
マイク録音、ライン録音、その他色々な状況に
対応出来るシステムを考えるとデジミキが最適だった。当時は。

で、楽器もデジタル、録音もデジタルってやってると、
たまにグランドピアノを弾いたり、コンサートを見に行ったりすると
なんだか別なものに聞こえるたりするからまた不思議。

ミキシングスタジオが楽器を買う必要が無い様に、
作曲家が音質にそこまで気を使わなくてもいいけど、
携帯から流れるシャカシャカキーキーした音を聞くと、
もうちょっと普段耳にする音の質が良くなるといいなぁ、と思う。

20111014da.gif
円をデジタルで見たものすごく荒くするとこんな感じ。
音でも同じことが起きる。

作成者: necobit(ねこびっと)

音楽と電子工作でMIDI寄りものづくりをするユニット。MIDI制御基板の開発・販売、製品作例として自動演奏化楽器の展示・音とメカのパフォーマンスを行なっています。

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